SS:整備技術ができるまで

それは、ある晴れた日のことであった。

もしかすると寒かったかもしれない。いや、寒くなくても工場内は寒かった。

 

 

ノルマ・・・である。

 

 

ターン13、帝國をおおった夢の剣不況の荒波はこの整備工場も容赦なく襲っていた。

菩薩・・・いや表情がいつも笑顔だから菩薩なのだが、そう呼ばれる工場長が

仏の笑みを浮かべてこともなげに今期のノルマを張り出したのである。

 

今年度の新規採用は見送ります。しかしながら

さしあたっての受注は増えて行く予定というか決定なのでお前ら人の3倍はたらけ

 

そうこともなげにかいてあるのであった。

待ってほしい、どう考えても待ってほしい。

ひとり当たりの仕事量には限りがある。そう、どう頑張っても無理なものは無理であった。

 

ローン、妻、子供、学費、生活費、ゲーム代、保険のテスト100点・・・

さまざまな単語が作業員たちの脳裏をかすめていく。

ある整備士Aさんの発言

もう正直「ブラック工場に務めているんだが

俺は限界かもしれない」と思いました。

 

だって、今までも限界ギリギリまで働いているのに

さらに3倍・・ですよ。

とっさに「過労死」という言葉が脳裏を過ぎりました。

 

それから、愛しい妻と。こんど生まれてくる子供の

 

ううっ・・・すいません。当時の事を思い出すと

今でも涙が・・・・

 

工場も大変だったと思います。

あれは未曾有の不景気でどうしようもなかった。

だからこそ我々も社の方針を受け入れて

みようかとおいうことになったのです。

プロジェクトチームの編成

生き残りたい。崖っぷちでもいい、そういう切ない願いでプロジェクトチームが誕生した。

工場も必死だったが、整備士たちはソレ以上に必死だったのだ。

 

まず工場のラインを最初から見直しはじめた。

これには工場長も参加した。何しろコスト削減は彼らの望みでもあるのだ。

 

時折本社から差し入れられるあたたかなカップうどんが彼らの生命線であった。

なにしろ食料だけは腐るほどあるんだ。残業代は食料支給になる、すまない。と

いわれての行動であった。

 

煮詰まった状況での作業に不満も漏れた。

迫る期限に頭をかかえた。そんなとき、いつも通りカップうどんを作っていた

ひとりがひらめいたのである。

 

それは一人暮らしの男だった。いつも自分がカップ麺をつくるより

はるかに早く食べられるのはなぜかと思ったのである。

 

そして彼は気がついた。

うどんを作る人、お茶をいれる人、テーブルを片付ける人

それぞれがそれぞれの仕事をすれば早くおわっている。

 

つまり分業にすることで作業はスピーディーになるのだ。

 

早速彼は図面を引き始めた。

 

工程表のクリティカルパスを探し出し、人員の配置を行うのは

いつものことだが、そこに分業の概念を取り入れたのである。

 

実のところ分業だけではなく、高度な引継ぎの技術も含まれてくるのであるが

ここでは割愛しよう。

 

とりあえずうどんくってたら、整備技術ができあがっていた。

試験にでない部分なんてそんなもんです。

詳しいやり方は 整備工場の親方かシュワ先生にきいてください。